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不可抗力の主張

  • hearinghealth27
  • 2024年10月13日
  • 読了時間: 2分

更新日:2024年10月29日

三菱造船所騒音性難聴に関する判例に、被告側の不可抗力の主張に関することが記載されています。



不可抗力の主張について


 (1) ところで、被告は、前記工法の変更等によって被告Y会社における騒音は著しく減少したものであり、かつ前記衛生面における対策ことに耳栓の支給及びその装着指導等をなしたものであるから、被告のとるべき措置としてはこれらで十分であり、これらの措置にもかかわらずなおかつ騒音性難聴が発生したとすれば、それは不可抗力であると主張する。


 被告Y会社においてとられた工法の変更及び衛生面の対策は前認定のとおりであり、被告が一定の騒音性防止策を講じてきたことは明らかである。もっとも、前認定のとおり被告の工法の改善等は逐次行われたものであり、しかも、これら改善等が相当進行したと認められる昭和四八年、三〇年五二年、五三年における騒音の状況は前記第二、三、(三)において認定したとおりであって、騒音性難聴を生ぜしめる騒音が消失したとはいい難い。


 次に、耳栓についてみると、耳栓が製造元のパンフレットに記載されたとおりの遮音効果を有するとすれば、相当の減衰力を生ずるはずであるが、実際に右パンフレットのとおりの効用を発揮したと認むべき証拠は乏しく、JIS規格のとおりの効果があるとすると、たとえば四〇〇〇ヘルツの騒音に対しては二五デシベルの遮音効果があるので、一一〇ホンの騒音は八五ホンに減衰されることになるから、これを常時完全に装着すれば騒音性難聴は相当防止しうることとなる。しかしながら、耳栓を着用してもなお有害な騒音もあるのであるから、耳栓の効果にも限界があり、かつ、前認定のとおり耳栓を長年月にわたり常時完全に装着することには困難な面があり、しかもその責を作業者側のみに帰することは相当でない。


 (中略)


 右に検討したとおり、被告が騒音性難聴発生防止のために一定の措置をとったことは認められるものの、これをもって十分であったとは認め難く、原告らに騒音性難聴が発生したとすれば、これを不可抗力によるものとはなし難い。

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